補助機関会合

気候変動枠組み条約と京都議定書を実施するに当たっての詳細な問題を詰めるための会議(SBSTA/SBI)が2週目に入っている。 京都議定書の発効がかなり近くなっているのに、まだまだ合意に達していない点が多くあるようだ。 昨日の場合を例にとると、狭い範囲を対象にした気候モデルの整備、技術移転の問題、途上国でのプロジェクトを実施する際の少数民族、先住民族の意見をどう反映するか、吸収源の問題、などだ。 (詳細までは追ってないので、詳しくは別の情報源を当たってみてください) 現在の議論で気になるのは、吸収源の問題で、吸収源のうち、吸収ではなくこれまでに蓄えていた二酸化炭素を排出するものと考えられる土地の劣化の問題だ。 オーストラリアの提案は、土地の劣化による二酸化炭素の排出を第一約束期間はカウントしない(すなわち、排出とみなさない)ことにしようというものであった。これにアメリカ、カナダ、(恥ずかしいことに)日本も賛成した。EUや途上国グループは反対だ。ただし、EUは議論の可能性は残しているようだ。 これまでの交渉の経緯によって、吸収する側は、考えられ得る最大量を二酸化炭素の固定と考えて良いことになった。それに対して、今度の提案は、さらに吸収量を増やすべくしてなされたものである。 そもそも、オーストラリアとか、アメリカは京都議定書に参加しないのだから、議論に参加しないで欲しいなと、思ってしまう。 日本の石油会社、製紙会社は結構オーストラリアで植林を行なっている。これは、たぶん、共同実施として認められることを企図してのことだ。 そう考えると、もしかして、オーストラリアが議定書に復帰する可能性もあるのだろうか? オーストラリア政府は裏でこういった企業に何らかの情報を与えているのかもしれない。 論点がずれた。話を吸収に戻す。 劣化した土地から排出される二酸化炭素を排出と見なすか否かという問題は結構大事な問題だ。 まず、これが排出であるとすれば、国としてはこのような土地や森林を整備して二酸化炭素の排出が行われないようにしたくなる。 一方、今期は排出と見なされないのであれば、極限まで森林を劣化させ、(すなわち、固定している二酸化炭素が短いと見なす)、次の期に植林を行ない、より多くの吸収をおこなったと認定されるようにする。 こんな風に考えると、土地の劣化を排出としないという今回の提案は非常に問題がある提案で、虫がいいとしか言いようがない。 もちろん、オーストラリアの公の場での提案理由はこうではないだろう。 例えば、 「森林管理には、事前の調査や準備が必要である。また、すでに劣化の始まっている土地の状況を好転させるためには少なくとも10年程度は必要である」 とか言うものではないだろうか。 なんとかこれを論破してもらいたい。 「ふざけんな!」って一喝すればお終いのような気もするが、それができないのが国際会議のしんどいところかも。