2004年10月第1週の環境ニュース

10月2日から8日までのニュースのうち、重要そうなものをピックアップしました。 今週は、あまり大きなニュースがなかった週なのですが、やはり、使用済み核燃料の再処理コストが公開されたのは大きいですね。 この問題、たしか、7月6日のニュースで、原子力委員会が再処理費用を試算することを決めたのだと思います。 それ以前は、再処理費用の算定は難しいとしていましたし、実際に試算したものを「存在しない」としていたことが後日報道されたりしていました。 これから、3ヶ月で、試算が出てきました。 この数字は果たして信用できるのかどうかと言うのがまず第一の問題としてあります。再処理費用を過小評価しているのではという気がします。 (あるいは、その逆) そもそも、たったの3ヶ月でできる計算を「難しい」としていたことは、嘘だったんでしょうか。 なぜ今になって急に試算ができるようになったのでしょう。 あるいはそれをせずに再処理ありきで突っ走ってきたことの反省はないのでしょうか。 現段階では、「再処理はコスト高だが、やめれば、六ヶ所村の工場の建設費用がむだになる」とか、「2015年までに原発が順次停止する」とか、半分脅迫めいたことを言って、再処理を進める根拠としています。 でも、そもそも、2015年までに再処理ってちゃんと動くんでしょうか。 あるいは、再処理やめたときのコストが26兆円というのはいいとして、いままで再処理につぎ込んできた費用はいくらぐらいだったのでしょうか。最初から直接処分だったら、どの程度ですんだのでしょうか? そんなことを考えると、このニュース、結局は、「今更やめるなんて言うことは許さない」というだけの話に聞こえます。 政策評価というのは、現在計画している事業の中止や代替案も含めて、検討するってことのはずです。 「原発やめたらコストかかるぞ」 ではなく、やめるとしたら、具体的にこういう施策があるというのをきちんと示さなければなりません。 少なくとも、原発やめたら、予定しているだけのエネルギー消費量よりは減らそうと努力するはずです。そうなると、「すべてを火力で代替して発電するから、二酸化炭素の排出量が大幅に増える」という話にはなりません。 僕は少なくとも、原発に関しては中立派なのですが、現在の原発政策に対しては、原発について議論する以前に信頼ができないと思っています。ちゃんとやれば、もっとみんなの理解も得られるはずだと思います。 あるものをないと言ったり、情報を小出しにしたりでは、情報を握っている方が圧倒的に有利で、まともな議論はできません。 これって、まさに経済学で言う、非対称性の問題から生まれる官僚制の弊害、です。 まあ、そうはいっても、これは報道記事ですから、原子力委員会の報告書にはこのあたりちゃんと書かれているのかもしれませんね。 ただ、現時点で、この報告書を読んだ人の話は聞きません。 すごく興味があって読みたいところです。 今回の記事は、毎日新聞、読売新聞、共同通信の報道記事を参考にしました。 なお、原子力委員会のページにも結構資料があります。 原子力委員会以外に、原子力発電所の費用を計算したものに、CASAというNPOが2000年6月に発表した資料があります。これは、大島賢一氏(現立命館大学助教授)が試算したものです。