不可能と思ったら何にもできない〜コウノトリ放鳥から1年

昨日(23日)兵庫県豊岡市で3羽のコウノトリが自然に帰されました。これで、合計16羽のコウノトリが野生に戻されたことになります。 周辺には2羽の野生のコウノトリもいるので、自由に空を飛んでいるのは合計で18羽ですね。 実は昨年の今日(9月24日)、コウノトリが初めて放鳥されたようです。 どうせ事故で死んだりするんちゃうんって思ってたんですが、無事1年が経ちました。 絶滅しそうな生き物の数を回復させることは容易な事業ではありません。 費用面から考えたらとうてい合わないことです。 それでもやることの意味、経済学的には十分にあるように思います。 野生のコウノトリを復活させる意義は、経済学的には3つあります。 一つは、公共事業です。 コウノトリを育てるのには膨大な費用がかかります。 場所も必要だし、なにより人手が必要です。 景気刺激効果に疑問が呈される中、地方に雇用を作り出すことが最近の公共事業の意義でしょう。 豊岡という、都会から離れた地域で環境を改善しながら、雇用を拡大するという好例です。 第二の意義は、地域にプライドを持ってもらう効果です。 豊岡は、夏ものすごく暑くて有名と言えば有名ですが、人を引きつけるかといえば、むしろ逆でしょう。 コウノトリの場合は、「コウノトリが野生化できるぐらい自然が豊か」「人々が環境保全に積極的」というイメージで全国に有名になることができます。 その結果、地域の方々は、豊岡に対して誇りを持つことができます。 もちろん豊岡に住んでみたいなと思う人も増えるはずです。 (ちなみに大阪から特急で2時間ぐらいです。城崎温泉は隣の駅ですし、皿そばで有名な出石そばも近くです。) 第三の意義は、生物に対する人々の気持ちの問題です。 トキに続いてコウノトリが絶滅するとなると、生物種の絶滅について、人々はより現実的な問題として考えるようになることが期待できます。 その逆に、絶滅を回避できれば、それはそれで、「生き物を守ることはこれだけ費用がかかってたいへんなことだ」という認識が広がるかもしれません。 そうなれば、絶滅に瀕する前に、簡単なことで守れるのであれば、生物種を保護していこうという取り組みが広がりそうです。 今ある自然を守ることは、壊れてしまった自然を回復させるのに比べれば遥かに簡単なことです。 多くの人は、こういうことに気づかずに、目先の利益だけを考えてしまいます。 でも、今、環境を守ることは将来の大きな支出を防ぐことです。 コウノトリ、夢がありますよね。 僕は実はまだ見たことがないんですが、実際見たら、大きくてきれいなんでしょうねえ。 コウノトリの郷公園のサイトで関連情報を見ることができます。