「おいしいコーヒーの真実」は勇気を与えてくれる映画だ

コーヒーというのは、ニューヨークの商品取引所で、原油についで取引額が大きな商品だという。 そこで決まる価格は世界のコーヒーの買い取り価格を決定する。 確かに僕たちが飲むコーヒー、ときどき値上げされるのはそのためのようだ(けど、値下げされることはあまりない)。 ここ最近は、金余りの影響でさまざまな商品の価格が上がっていて、コーヒーの価格も上昇している。 けれども、その前はコーヒー価格が暴落していた。 食料品の価格が国際市場で決定されることは、商品を買う側にとってはとても都合がいいことだ。 世界のどこかで不作でも、別の場所は豊作だったりする。 そして、世界全体では食料が余っているから、価格はいつも低めに抑えられる。 本来、市場では豊作のときは価格が下がるが、量が出るので収入へのダメージは少ない。凶作のときには生産量は少ないが価格が上がるので収入へのダメージも抑えられる。 しかし、国際社会全体で食料が余っていたら、凶作のときすら価格は低いままだ。 豊作のときも、世界全体への食料供給と需要はそんなに変わらないから、価格の低下を補うほどに販売量は増えない。(むしろ、仲買人に買いたたかれる分だけ生活は苦しいはずだ) そんな食品の一つがコーヒーだ。 グローバルなコーヒー市場で、少しでも生活をましにしようと努力するエチオピアの生産者組合の代表の姿を追ったのがこのドキュメンタリー「おいしいコーヒーの真実」だ。 彼は、コーヒー生産者とその家族がまともな暮らしをできるだけではなく、自分たちの仕事と国に誇りを持てるようになることを望んでいる。 映画に出ていたエチオピアの生産者たちは、生活が苦しいなかで、フェアトレードで収入が増えた分を自らの暮らしのために使うのではなく、子供たちの学校を作るために使うことを選択した。 僕たちがフェアトレードを通してつきあっている生産者はこういう人たちなんだ、と実感できる。 「ほうら、グローバル企業って、こんなに悪いでしょ」という糾弾ともとれるかもしれないが、僕には、コーヒー一つとっても、僕にでもできることがあるんだと解釈した。 みんなにぜひ見てもらいたいなと思う映画だ。 大阪では、十三にある第七藝術劇場で7月末から上映される。 ややこしいことを言わずに、まず、この映画を見てほしい。 この映画、友人でフェアトレードプロモータスという団体を運営している酒井さんがカフェスローOSAKAで実施した関係者試写会で見ることができた。 昨年、NHKのBSドキュメンタリーで抄録が放映されているのを見損なったときからみたかった映画だったので、なんとか時間を作って見に行くことができた。 人の誘いには、忙しいとか、他にやることがあるとか、つい言ってしまうが、この映画を見るより大事なことってなにかあったんだろうかと、僕は今思う。 内容もそうだが、こういう表現手法があるんだということも僕には大きな驚きだ。 ドキュメンタリーという手法の持つ大きな力と可能性を僕は感じることができた。 援助を待つ人を見ながら、援助団体の男性が語る言葉も印象的だった。 「施しを受ける大人たちを見て子供たちは育つんです」 人として、学者として、僕に何ができるだろう。 そう考えて、いくつかのプロジェクトを始めることにした。 まだ思いつき段階なので、これを広めることができるかは分からないけど、少し企画を練ることにしよう。 ちなみに、カカオの児童労働のビデオもあったのでリンクしておく。 (追記:これは、やらせが入っていて問題になったんだそう。 普段は、木に上ったりはしていないらしい。 誤解を招くので、削除した)