スロービジネス見本市の楽しみ方

「いのちを大切にする仕事」を提案し実践しようと模索する人が集まるスロービジネスカンパニーが、「スロービジネス見本市」というイベントを3月8日池袋で開催する。 人を幸せにする会社を増やそうと取り組んでいる天野敬之氏の講演や、フェアトレードコーヒーの会社を経営する中村隆市氏からのコメントもなかなかおもしろそうだが、メインの内容となる、投資ゲームにも期待が持てる。 スロービジネスというのは、コミュニティビジネスとエコビジネスを組み合わせたようなものを想像すればよいかと思うが、具体像はまだまだはっきりとはしていない。 それを各出展者が自分なりに解釈し、ビジネスとして提案するのが今回の企画だ。我々参加者は一人1000万円の資金を持ち、支援したいプランに資金を振り分けていく。 モノや自分の時間、周りに知らせるという貢献もあるのに、なぜお金だけで「志」を表現するの?という思いもあるかも知れない。けれど、現実の世界では我々が持っている時間やモノは限られている。 「周りに知らせることや関心を持ち続けること」も実は限られている。世の中すべてのことに関心を持ち続けることはできないのだ。 どうしても自分にとって重要なことを中心に自分の持っていることに資源を集中せざるを得ない。 その葛藤を感じて欲しい、それでも応援したいだけの価値があると思うことを応援して欲しいというのが、投資ゲームの目的だ。 自分の持っている資源を、たまたまお金という形で表すのだと考えてみよう。 そうすれば、「これは100万円と書いたけど、実は僕が自分の時間で協力するって意味」というメッセージを投資に込めることもできる。 (実際、投資カードには自分の気持ちも書けるらしい) 見本市に出展しているのは、すでにビジネスを立ち上げている人もいるが、働きながら将来のビジネスを夢見ている人やこれから自分の生き方をデザインしていこうとしている人もいる。 いろいろな段階にいる人たちのプレゼンテーションを見、直接対話することで、これからの世の中をポジティブに捉え、進んでいこうとする人達に出会うことができる。 投資をするまでには至らなくても、一言、それぞれの立場からの意見や感想を伝えるだけでも、出展者がこれからビジネスを進めていくための参考になるはずだ。 そういう意味では、会場に参加する人たちが望むビジネス像、生き方像を、出展者に託す場であると考えることもできる。 挑戦する人をどう支援していいのか分からず、失敗していくのを見守るしかできないことを残念に思っていた人も、自らが声をかけ、出資することでどれだけ多くのことが実現できるのかを実感するよい機会になりそうだ。 スロービジネスカンパニーにとって、この見本市は、自らの事業を世の中に問い、広めるという大きな挑戦だ。 これまでは狭い関係の中で育んできた思いが、自己満足に陥っていないか、非現実的なものになっていないのかを確かめることで、カンパニーが運営するスロービジネススクールの中身もより現実味があり、充実したものになっていくだろう。 一般の参加者は、出展者を評価し、応援すると同時に、主催団体自体の事業自体にも目を向けると、より楽しめるだろう。