学生はなぜレポートが書けないのか?

みなさま、明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。 毎年、さまざまなことがありますが、今年はどんな年になりますでしょうか。 僕は本厄。 なんだか不安もありますが、体調に気をつけて、初心に返り研究に励むつもりです。 さてさて、今年の仕事は4年生の卒論の最終チェックと3,4年生対象の環境経済学のレポート採点です。 卒論のことはまあよいとして、レポートの課題は、「環境問題に関する市場の失敗の事例をあげて解説せよ」でした。 が、環境問題のことばっかり書いている人がけっこういます。市場の失敗の説明や事例へのあてはめをするよう、補足で指示しているのにもかかわらずです。 こういう人にどうやって点をあげたらいいのか、悩んでしまいます。 「今、自分がなにを求められているか」をしっかり考えない人が多いですね。 内容は講義のレポートと言うだけあって、あまり目を引くものがないだけに、最低限の用件を満たしていれば加点するようにしているのですが、こういう人、どうやって加点してあげればいいのでしょうか。 なんでこういうことになるのかなあって考えると、一つには経済学部の教育に原因があるのかもしれないと思います。 経済学部の教育は、経済学の理論というか、経済の仕組みに関する教育はいっしょうけんめいやるのですが、それを現実に当てはめるにはどうすればいいのか?という方法論の解説はほとんどありません。 僕が勉強した法学部では、「要件効果」(説といったかな?)という言葉を一年生でたたき込まれていました。これは、僕自身の解釈で説明すると「ある理論が効果を発揮するために、一定の要件を満たす必要がある」というものです。 つまり、理論を現実に適用するために、理論から「要件」を抽出し、その要件が現実に当てはまっているか、一つ一つチェックしていくのです。 要件を満たしていることが分かれば、その現実の問題には理論が適用できて、理論が想定する結果(効果)も期待できるということです。 これに相当するものを経済学部の学生は、習っていないのかもしれません。 だから、事例の紹介をしながら、「市場の失敗」の話に行きたくて、どうやってつなげればいいのか分からなくて、結局は事例の紹介で終わってしまうという結果になります。 僕のレポートは、1.事例の紹介、2.理論の解説、3.あてはめと執筆順序を提示しているのですが、3がきちんと書けない人が多いです。 それもこれも、このあてはめの重要性が伝わってないからなのでしょう。 レポートの採点をしていると、毎年いらいらしてしまいますが、考えてみれば、この辺りの訓練ができていないのだから、しょうがないのかもしれません。 どうやったら、理論のあてはめができるようになるのかなあと、新年早々悩んでしまいます。