産業連関表はなかなか強力

連休は徳島で学会でした。 徳島の街はマチアソビというアニメのイベントでまあ賑やかだったのですが、僕らはひっそりと学会です。 僕自身も発表をしてきたのですが、もうちょっとプレゼン、練らないと、通じないなあという感じ。 でも何人かの方と知り合いになれたのでよかったです。 最終日の午前中のセッションは産業連関表でした。 産業連関表は昔ずいぶんやったので、もういいやという気もしていましたが、セッションに参加して、その気持ちが吹っ飛びました。 なにより、新規事業(薪の生産・販売とか、メガソーラーとか)の経済効果が出せることや、それを内生化(地域内で材料を調達する)することの効果も出せています。 当時は頼まれるままにやっていて、いつのまにか古いツールのような気がして、忘れていました。が、気づいたら、今自分の関心を表現するのにとてもいいツールだという感じです。 とくに新規産業の内製化の話は、その次にくる雇用効果と組み合わせるととても魅力的です。 自治体の人は喜ぶでしょうね。 経済学は自然科学ではない そんな感じでちょっと興奮気味に、帰ったらすぐに分析を手がけられるように、計画を練っていたのですが、そこで手が止まってしまいました。 経済効果が数字で出るけれど、その数字はどの程度信頼できるのか。 よく言われることですが、産業連関表は現状の産業構造が続くと仮定してのものです。 で、その仮定の上に、さらに新しい産業が普及するとして・・・という仮定をおきます。 出てきた数字はどのくらい信用できるでしょうか。 それよりも重要なことは、そういう産業をつくったら、地域経済にどのような影響がなぜ起きるのかというメカニズムです。 つまりは、符号がプラスなのかマイナスなのか。 数字は、あくまでも、一つの例でしかない。 物理学などの自然科学ならば、この辺りの数字はとても大切で、しかも再現が可能なものです。 しかし、経済学は自然科学ではないのです。 幅のある数字に意味を求めるよりも、メカニズムが明らかになれば、それを各地域で、具体的に達成するための方策を練るべきではないでしょうか。 数字をいじるよりも、社会に出て、一つ一つ問題に取り組むことです。 考えてみれば、ここ最近、僕が森のことを考え続けて、アプローチに悩んできたこともそう言う理由でした。 わかりやすい数字を求めて、ツールに走るのではなく、メカニズムをしっかりと解明することこそが今は僕にとって大事なんだと感じます。 産業連関表も他の統計的な手法も、数理経済学的な手法も、大事だけど、それよりもしっかりと現実を見て、メカニズムの糸口を見つけることです。 そのうえでの分析ツールです。 なんだか初心に返ったような日でした。 さあ、がんばって研究すすめよう。